聞こえについて
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お子さんが成長するために、耳が聞こえることは、目が見えることと同じように、大変重要なことです。
その耳が、色々な原因(病気)によって聞こえにくくなる場合があります。

 もし、お子さんの耳に聞こえにくさ(難聴)があると、お子さんが日々生活する上で、様々な困難さが生じます。
人の話し声が聞こえにくい、話の内容が分かりにくい、人とうまくつながりにくいなど。
 もし、聞こえにくさがあるのに適切な支援がされない場合には、これらの困難さが、お子さんの成長に影響します。
最悪の場合、学業の問題や交遊関係や集団適応の問題に発展する恐れもあります。

難聴の原因になる病気

 難聴の原因は先天性難聴(出生時から難聴)と後天性難聴(出生後に発症)に分けられます。
 両側難聴はおよそ1000人に1人の割合で見つかりますが、出生後に難聴になることもあり、小児期の難聴は500人に1人にみられます。

1.先天性難聴

1.遺伝性難聴
 60-70%は遺伝性難聴が原因といわれています。

2.染色体異常
 ダウン症候群では感音難聴や滲出性中耳炎になりやすいです。

3.ウイルス性難聴
 約10%が先天性サイトメガロウイルスによる難聴です。出生時には正常聴力で進行性難聴の高度難聴をきたすことがあるため新生児聴覚スクリーニングをパスしても、乳幼児健診を受けることが必要です。
 妊娠3か月以内に母体が風疹に感染すると、低体重、眼疾患、心臓疾患、難聴などを伴う先天性風疹症候群をきたします。

4.内耳奇形
 多くは高度難聴となります。

5.外耳、中耳奇形
 軽度から中等度の伝音難聴になります。

2.後天性難聴

1.髄膜炎
 肺炎球菌などが主な起炎菌で、両側難聴をきたします。

2.ムンプスウイルス感染
 流行性耳下腺炎の合併症として片耳に難聴にみられます。なかには両耳が難聴となることがあります。
 ムンプスはワクチンによる感染予防が必要です。

3.滲出性中耳炎
 2歳までに70%のお子さんが痛みや発熱を伴う急性中耳炎にかかりますが、滲出性中耳炎は痛みがなく、両側性に生じることが多いと軽度から中等度の伝音難聴になります。

難聴に伴う子どもの困難

 子どもに軽度難聴等がある場合、会話音の一部は聞こえても、一部は聞こえないという困難さがあります。それでも本人は理解しようと気持ちを集中して聞いたり、口の動きを見たり、話の前後関係から聞き取れなかった部分を推測して理解しようと努力をします。その結果、状況によっては理解できる場合がありますが、状況によっては理解できなかったり、聞き間違えてしまう場合もあります。

例えば、以下のような場合です。しかも、理解できる場合があるため、周りの人から見ると「聞こえている」と「誤解」をされることがあります。会話が理解しにくいという困難さがある上に、「その困難さが周りの人々に理解されにくい」という困難さが重なります。

 ・声が大きいと聞こえやすいが、小さいと聞こえにくい。
 ・距離が近いと聞こえやすいが、離れると聞こえにくい。
 ・静かな場所は聞こえやすいが、周囲の騒音が大きいと聞こえにくい。
 ・聞こえる耳の側は聞こえやすいが、聞こえない耳の側は聞こえにくい。
 ・ゆっくりした話は理解しやすいが、早口の話は理解しにくい。
 ・話し手の口の動きが見えると理解しやすいが、見えないと理解しにくい。
 ・知っていることばは理解しやすいが、初めて聞くことばは理解しにくい。
 ・話題がつかめると理解しやすいが、話題がつかめないと理解しにくい。
 ・相手が一人だと理解しやすいが、相手が複数だと理解しにくい。
 ・相手が大人だと理解しやすいが、相手が子どもだと理解しにくい。
 ・本人が聞こうとしている時は聞けるが、集中力が切れると聞けなくなる。
 ・本人が安心できる場面では聞いていられるが、不安な場面では聞けなくなる。

子どもの成長への難聴の影響

 子どもに軽度難聴や片耳難聴がある場合、ことばが曖昧に聞こえているため、よく知っていることばは聞いてなんとか理解できますが、初めて聞くことばは理解できなかったり、聞き間違えたりします。

 新しいことばや知識を学習する時期にある子どもにとって、このことは大きな問題で、適切な支援がないと、学業の問題に発展する場合もあります。

 子どもに軽度難聴や片耳難聴がある場合、騒音下で会話を聞き取れなかったり、相手が複数で次々と替わるような場合には理解できなかったりしますので、幼稚園や学校等の集団場面では会話を理解できないことがあります。

 人間関係を学習する時期にある子どもにとって、このことは重大な問題で、適切な支援がないと、交遊関係や集団適応の問題に発展する場合もあります。