聞こえを
確かめてみましょう

 このサイトは、幼児のお子さんを育てているお父さん・お母さんに読んでいただきたいサイトです。
もしお子さんの耳に聞こえにくさ(難聴)があっても、それが軽度の場合には分かりにくく、
家族でも気がつかないことがあります。お子さんの耳の聞こえを確かめてみることを、ぜひお勧めします。

 はじめに、「聞こえのチェック項目」を読んでみましょう。その中で、お子さんに当てはまる項目が一項目でもあった場合には、
耳鼻科に相談するか、「ささやき声検査」や「指こすり検査」をやってみましょう。
これはご家庭でできる聞こえの検査です。検査のやり方を動画で解説します。
医療や教育の分野には、聞こえにくさのあるお子さんを支援する専門のスタッフがいます。
もしお子さんの耳に聞こえにくさがある場合、できるだけ早く出会ってほしいと願っています。

聞こえにくさは分かりにくい

 もしお子さんの耳に軽度の難聴がある場合や、片耳だけ難聴がある場合、名前を呼べば振り向きます。会話ができます。一見聞して、聞こえにくいようには見えません。それならあまり問題がないのでは? いえいえ問題があるのです。近くで話すと聞こえるが、離れると聞き取れない。静かな場所だと分かるが、うるさいと分からない。日常の会話は分かるが、初めて聞く話は分からない、などの問題があります。
つまり、状況によって聞こえたり聞こえなかったり、理解できたりできなかったりします。

 お子さんの場合は、今、新しいことばや知識を、耳から聞いて学習する時期にあります。そのため、聞こえにくさが軽度でも問題となります。できるだけ早く適切な治療や支援をしてあげましょう。支援が遅れた場合、ことばが遅れる、勉強が遅れる、友達とうまく遊べないなど、大な問題になる場合があります。聞こえにくさは分かりにくいため、他の問題と間違って見られることがあります。

例えば・・・

  • ことばが遅れている、発音が分かりにくい、人の話を聞かない。
  • 落ち着きがない、友達と遊べない、発達障がい?
  • 理解力が弱い、知恵遅れ?
     
    など。

 お子さんの耳に聞こえにくさがあることが分かった時、保護者の方は「まさか聞こえが問題だとは思わなかった」とおっしゃいます。そのくらい聞こえにくさが軽度の場合は分かりにくいのです。全てのお子さんに、耳の聞こえを確かめてみることをお勧めします。
 特に、ことばや発達に心配のあるお子さんの場合には、強くお勧めします。

聞こえのチェック項目

 以下の「聞こえのチェック項目」で、お子さんの聞こえをチェックしてみましょう。
①から順番に読んで、当てはまる項目がないか確認していきましょう。

 ①2歳になっても、意味のあることばが出ない。
 ②名前を呼んだときに、振り向かないなど、反応がないことがある。
 ③テレビの音を大きくする、または近づいて聞くことがある。
 ④身ぶりを入れて話さないと、伝わらないことがある。
 ⑤子どもの耳が聞こえにくいのでは、と思ったことがある。
 ⑥親戚や先生から、「聞こえにくいのでは」と言われたことがある。

①~⑥の項目で、
1項目でも当てはまる場合、

聴力が低下している可能性があります。耳鼻科を受診して、聞こえにくさがあるかどうかを、調べてもらいましょう。

3歳未満で、全て当てはまらない場合、 3歳未満の聞こえのチェックはここで終りです。
今のところ、聞こえは大丈夫と考えられますが、引き続き、お子さんの聞こえの様子を見守ってあげてください。特に耳や鼻の病気に罹ったときや、カゼなどで体調をくずしたときには、注意して見てあげてください。
3歳以上で、全て当てはまらない場合、  ⑦へ進みます。

 

 ⑦会話の中で、反応がない、または聞き返してくることがある。
 ⑧ささやき声で話すと、わからないことがある。
 ⑨ことばが遅れているのでは、と思うことがある。
 ⑩うまく発音できない音がある。 
      例 サカナ → チャカナ
 ⑪ことばがはっきりしない。こもったような声で話している。
 ⑫状況に合わない大きな声、または小さな声で話すことがある。
 ⑬話している人の顔を見ながら、話を聞くことが多い。

⑦~⑬の項目で、
1項目でも当てはまる場合、

軽度の聴力低下の可能性があります。
「ささやき声検査」をしてみましょう。
検査をした結果、聞こえにくさが疑われる場合は、耳鼻科を受診して、聞こえにくさがあるかどうかを、調べてもらいましょう。
「ささやき声検査」の方法は⇨ ここをクリック

全て当てはまらない場合、 ⑭へ進みます。

 

 ⑭左右どちらかの耳で電話の音声がわからないことがある。
 ⑮話しかけると、どちらかの耳をこちらに向けることがある。
 ⑯まわりがうるさいところでは、話が通じにくいことがある。

⑭~⑯の項目で、
1項目でも当てはまる場合、

片方の耳の聴力が低下している可能性があります。
「指こすり検査」をしてみましょう。
検査をした結果、聞こえにくさが疑われる場合は、耳鼻科を受診して、聞こえにくさがあるかどうかを、調べてもらいましょう。
「指こすり検査」の方法は⇨ ここをクリック

全て当てはまらない場合、 今のところ、聞こえは大丈夫と考えられますが、引き続き、お子さんの聞こえの様子を見守ってあげてください。特に耳や鼻の病気に罹ったときや、カゼなどで体調をくずしたときには、注意して見てあげてください。

ささやき声検査

○ビデオ「家庭でできる聞こえの検査」を見る

  ↓この下の画面をクリック 

 

 

 

 

○検査が可能な年齢

 目安として3歳ぐらいから可能といえます。3歳未満の場合は、1歳6カ月健診で行うことになっている、子どもの後ろからささやき声で名前を呼んで反応を見る方法を試してみるのがよいでしょう。

○用意するもの

 絵シートを用意します。絵シートがない場合は、子どもがよく知っている絵本などを利用することもできます。
 絵シートは、日本耳鼻咽喉科学会のホームページからダウンロードできます。
「難聴を見逃さないために」で検索し、「3歳児健康診査」をクリックすると、リーフレットがダウンロードされます。絵シートは、その4ページにあります。

○正しいささやき声の出し方

 指先で喉(声帯付近)をさわりながらアーと声を出すと喉が震えるのが分かります。次に、ハーと息を出すと喉は震えません。このように、喉が震えないように出す小さな声がささやき声です。
 喉が震えない声(無声音)で言うところが重要なポイントです。

○検査の手順

・はじめに練習をします。絵シートの中の絵の名前を順不同で言います。練習では、口を見せて、普通の大きさの声で言います。子どもが聞こえたことばの絵を指させるようになるまで練習をします。例えば、「これから絵の名前を言うから、分かったら指をさしてね。○○はどれですか」のように。

・全ての絵を指させるようになったら検査に移ります。練習と同じように、聞こえたことばの絵を指さしさせますが、検査では、紙などで口が見えないようにかくし、ささやき声で言います。

・例えば「こんどは小さな声で言うから、分かったら指さしてね。○○○はどれですか。」のように。

・検査の時は、同じことばを繰り返して言わないようにします。

○注意点  

・できるだけ静かな部屋、あるいは静かな時間帯に行います。
・検査の時は、子どもから口が見えないように気をつけます。
・正しいささやき声になるように気をつけます。

指こすり検査

○ビデオ「家庭でできる聞こえの検査」を見る

 ↓この下の画面をクリック 

 

 

 

 

○検査が可能な年齢

 目安として3歳ぐらいから可能といえます。3歳未満の場合は、子どもが静かにしている時に、子どもの耳の後ろから、指をこすって音を聞かせ、反応を見る方法を試してみるのがよいでしょう。

○用意するものは特にありません。

○正しい指こすり音の出し方

 乾いた親指と人さし指の先を、軽くカサカサとこすり合わせます。耳元でこすると、カサカサと聞こえますが、腕を伸ばしてこすると聞こえないぐらいが適切なこすり方です。

○検査の手順

・はじめに練習をします。練習では、子どもの前から、手の動きが見えるようにして行います。左右どちらかの耳の横で、指をこすって音を聞かせ、聞こえた方の耳を指ささせます。
 例えば、「これから耳のそばで指をこするから、カサカサっという音が聞こえたら、聞こえた方の耳を、『こっち』と指さして下さい」のように。

・左右どちらから聞かせても正しく指させるようになったら検査をします。検査では、子どもの後ろから、手が見えないように指をこすって音を聞かせます。練習と同じように、聞こえた方の耳を指さしさせます。

・例えば「こんどは後ろから耳のそばで指をこするから、カサカサっという音が聞こえたら、聞こえた方の耳を、『こっち』と指さして下さい」のように。

・指をこすって音を聞かせる場所は、子どもの耳のやや後ろ10㎝ぐらい離れたところから音を聞かせます。耳の真横から音を聞かせると子どもから見えてしまうことがあるので、耳のやや後ろから音を聞かせることが重要なポイントです。

○注意点  

・できるだけ静かな部屋、あるいは静かな時間帯に行います。
・検査の時は、手が子どもの耳や髪の毛に触れないように気をつけます。
・正しい指こすり音になるように気をつけます。